生き物日記





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本の話ー動物感覚ー :: 2006/11/19(Sun)

20061116234931.jpg

「動物感覚 ーアニマルマインドを読み解くー」テンプル・グランディン著 日本放送出版協会 3360円

 この本の著者は自閉症患者で動物科学者、アメリカの食肉用の施設で、動物たちが人道的に扱われているかを監査する仕事をしている女性です。(そんな仕事があることが驚き!)
 彼女によると、自閉症患者でないふつうの人は「知覚から得た生の情報ではなく、その概要を見たり聞いたりしている」が、自閉症患者は「世の中を構成しているこまかい点を見る」、 自閉症患者のそのような感じ方は動物もまた同じなので、彼女は動物の考えを特別に理解する能力をもち、同じ場にたてば動物たちが何を感じ何を恐れているかがわかるというのです。
 この本に描かれているのは、そうして彼女が見て体験し科学者として調べた、動物と主にその能力に関するあらゆる事実です。具体的にあげられている例の一つひとつがたいへん興味深いのですが、それ以上にこの本が衝撃的なのは、動物や自閉症患者には見えていて、そして自分には見えていないものの存在を突きつけられるからです。
 これは私が本から受けた印象ですが、自閉症患者とは「一を聞いて十を知る」ということができない人たちなのでしょう。彼女らにとっては、一は一でしかなく、十を知るためには十聞かなくてはいけない。それは、一般的に考えられている「人のさとさ」とは対極にあるもののようですが、十から十を知った場合の十は、一から十を知った場合の十とは、まったく違う、深く濃密な十だと思うのです。私たちは、一般的な意味で賢くなろうと、見たことのうち無意識に多くを切り捨て多くを推測しながらすべてを見た気になっていますが、その過程でどれほど多くのものを失ってきているのでしょうか。この本を読むことは、動物を知ることではなく、動物と比べたときの自分の欠けた部分を見ることになります。
 人として洗練されることで失うものがあり、動物の位置にたつことで見える世界もまたあります。その事実は、生きているものが多様である意味を私に考えさせるのです。
 これからも、私は何度もこの本を読んで、それを考えなくてはいけないでしょう。私にとっては、今まででもっとも大切な一冊となりました。
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comment

私もこの本読んでみたくなりました。
動物って沢山の言葉は持たないけれどほんの一瞬のアイコンタクトで全てを理解するって言いますよね。
言葉に頼ってしまう人間って、たくさんの機械がないと生活できなくなっている現代の人間の姿に似ている感じがしますね。
なるべく多くのものを持たず、シンプルな生活ができる人になりたいな。そうしたら自分の中の直感や本能なんかが呼び覚まされそう。
  1. 2006/11/24(Fri) 06:39:37 |
  2. URL |
  3. うっきー #WV4V227M
  4. [ 編集 ]

うっきー様

 この本、ぜひ読んでみてください。
なんだか不思議な本で、何度でも読んでみたくなるんですよ。
自分の脳がどんなふうになっているのか、いろいろな意味で興味津々な本ですよ。
  1. 2006/11/28(Tue) 23:14:49 |
  2. URL |
  3. きーろん #t50BOgd.
  4. [ 編集 ]

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